人工授精って、こんなに大変だと思わなかった
「人工授精って、病院でちょっと処置するだけでしょ?」
私も治療を始める前はそう思っていました。でも、実際に人工授精(AIH)を4回経験して感じたのは、タイミング調整、仕事の調整、精子の検査や結果に対するプレッシャーなど、想像以上に心と体に負担がかかるという現実です。
この記事では、人工授精の基本的な流れから、実際の通院の様子、仕事との両立の大変さや精神的な負担まで、リアルな体験をもとにまとめました。これから人工授精にチャレンジしようとしている方の参考になれば嬉しいです。
人工授精(AIH)の基本的な流れ
人工授精は、排卵のタイミングに合わせて、精子を子宮内に直接注入する治療法です。自然妊娠に近い形で妊娠を目指す方法ですが、実は“その日”に向けてやることがたくさんあります。
①卵の成長チェック(排卵日予測)
まずは排卵日を予測するために卵胞の大きさを確認します。私の場合は毎周期、排卵前に最低でも2回前後の通院が必要でした。卵胞が18〜20mm程度に育っていれば排卵が近いと判断され、人工授精の予定が立てられます。
②タイミングに合わせた通院
卵の成長が確認されると、「明日来てください」「明日の午前中に」といった形で、急な来院の指示が入ることが多いです。勤務日でも時間をやりくりして、なんとか通院…。体外受精もおこなってきましたが、人工授精の方が都合を合わせるのが大変でした。また自分の中で、人工授精は不妊治療なのかな・・・と感じていました。上司に勤務変更を依頼する際も、オドオドしながらお願いしたのが印象深く残っています。夜勤明けでの卵の確認や、夜勤入り前の通院の際も、時間がかかりすぎて帰ってきたこともありました。
精子提出の流れと“見えないプレッシャー”
①精液提出は専用カップで
排卵のタイミングに合わせた通院日には、パートナーに精子を採取してもらい、専用のカップで提出します。精液カップを手渡される瞬間は、何度経験しても独特の緊張感がありました。私が通っていた病院は、赤チェックの紙袋に入れて渡されていましたが、わかる人のは分かってしまう、目立ってしまう袋を持ち歩くことの、羞恥心など確実に感じていました。
②精子の洗浄・濃縮に時間がかかる
提出後は、精子を濃縮・洗浄して運動率の高いものだけを選別する処理が行われます。この工程に30分〜1時間ほどかかり、待合室で待つ時間がとても長く感じられます。
③精子の運動率・数値が見えるつらさ
人工授精後には、「今回の運動率は〇%」「精子の数は〇〇万個」など、結果として数字が伝えられることが多いです。パートナーへの申し訳なさ、自分の焦り、毎回いろんな感情が入り混じります。
人工授精と仕事の両立は想像以上にしんどい
- 突然の通院指示で、仕事を早退・休む必要がある
- 会社に治療のことを言っていないため、理由の説明に苦労する
- 申し訳なさや罪悪感で、どんどん心が疲れていく
治療に理解のある職場であればまだ良いですが、そうでない場合は本当にしんどいです。仕事をしながら人工授精を続けるのは、想像以上にエネルギーが必要でした。
治療を続ける中で感じた不安と葛藤
人工授精は、ただの医療処置ではなく、心身ともに多くの負担がかかる治療です。タイミングに合わせた通院、仕事の調整、検査結果へのプレッシャー…どれも簡単ではありません。最終的に私は、4回目の人工授精を行う前に、「精子の運動率が悪いから体外受精に移行した方がいいかな。」と言われました。また過去3回分の精子の運動率を見せてもらった時、もっと早く言って欲しかったと思いました。正直、専門医ではなかったため仕方がないですが、業務的な妊活のような、もっと親身になって、丁寧におこなって欲しかった、と思いました。
でも、ここまで読んでくださったあなたは、すでにたくさん頑張っている証です。
同じように悩み、疲れながらも前を向こうとしている仲間がいることを、どうか忘れないでください。
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